2013年の初演以来、国内外をとおしてロングランを続けるとびきりハッピーな舞台「沖縄燦燦」の沖縄県内公演が、いよいよ2020年1月10日よりスタートします!

今回お届けするのは、ステージング・知花小百合氏と演出助手・前里茜氏によるスペシャル対談。舞台のキーパーソンである2人だからこそ知る、制作の舞台裏や秘話もたっぷりとお楽しみください。

  

対談は知花氏の母校でもある沖縄県立芸術大学の中庭にて。
写真左:知花小百合氏/写真右:前里茜氏

  

チームワークで乗り越えた、怒涛の1カ月

  

前里茜(以下 前里):実は、沖縄燦燦の舞台制作が決まった最初の頃のことは覚えてないの。大変すぎて。(笑)

知花小百合(以下 知花):最初の公演まで1カ月ちょっとしかなくてね(笑)。

前里:ノンバーバル舞台(=言葉を必要としない舞台)だけど、最初にもらった台本にはセリフが書かれていて。でも現状の「沖縄燦燦」みたいな舞台全体のストーリーはなくて……。“作品を作る”ということに加えて、『作品の意図を受け取れているのか、それを伝えられているのか』もうパニック状態。プレッシャーを感じている暇もなかった。(笑)

知花:そうだ!最初はストーリーがなかったんだよね。それでお芝居の経験がある三浦基雄さんも演出助手として参加することになって……恋物語なら誰が観てもわかるからと、サンラーとカナーのお話が生まれた。

前里:そうそう。

  

サンラーとカナーの恋物語を中心にストーリーが進む
普遍的なテーマだからこそ 国籍や年齢を越え多くの人が共感できる

  

知花:台本に書かれている曲順を自分たちで整理して、松元靖さん(音楽担当)が原曲をアレンジするところから舞台作りがスタート。どこを盛り上げるのか、どこをどうしたいのか……そこからかぁ!みたいな感じで始まった。(笑)

前里:私はみんなの追い立て役で。早く音楽をください!とか、稽古が足りてないからスケジュール調整して!とか。(笑)

知花:私が振付を作るときも、曲ができていないシーンが多かったからね。

前里:たしかに。1曲にかけられる時間は、相当に少なかったかもしれないね。

知花:(ステージング担当として)1時間の振付を自分で作る、しかも少人数の舞台。私自身、この無理難題をどうクリアできるのか、みんなの力を借りながら『これでもかっ!これでもかっ!』と試行錯誤した1カ月間だった。だから1番最初の公演で、お客様から拍手をいただいたときは『みんな、本当にありがとう!』って。

  

演者・スタッフの1人1人が重要な役割を担う
まさに少数精鋭の舞台だ

三隅治雄氏と沖縄芸能

  

前里:私の場合、本番までが私の仕事だから(最初の公演中は)祈ることしかできなかったの。しかも、隣には「沖縄燦燦」を作った三隅治雄先生が座っていて。“紫綬褒章も受章している偉い先生”って思ったら、どうしたらいいのか分からなくなって……最初は隣にすら座れなくて椅子1個分あけた床の上に座ってた。(笑)

知花:(笑)

前里:お話すると、普通に優しい方なんだけどね。携わってこられた文献や功績が、もうすごすぎて。

知花:私の師匠である古謝弘子先生と三隅先生は昔から親交があったから、すごい方だっていうのは「沖縄燦燦」以前から私も知っていて。三隅先生は、長年に渡って沖縄の芸能や文化を聞き取り調査して、それを“良い形”で舞台に乗せようとする第一人者でもあるから、本当に偉大な方だと思う。

前里:たしか三隅先生の“先生”が『日本の芸能を知るなら、沖縄に行きなさい』と、おっしゃったとか。

知花:そうそう!

前里:本当は、そのあたりも先生と深くお話したい!

  

苦労も喜びも共にしている2人からは
驚きの思い出話が次々と飛び出す

  

前里:毎公演ごとに新しい振付や演出が加わる「沖縄燦燦」だけど、題材にしているのは沖縄にある普遍的なもの。だから時代や環境に左右されない、本質が変わらない作品だと思ってるの。「沖縄燦燦」という作品自体に力があるんだなぁと、年々と確信が強くなっている。

知花:うんうん。

前里:ときには舞台を観てくれたお客様から『これを琉球舞踊だと思われたくない』っていう、厳しい意見をもらうこともあるけど……

知花:そうだね。だから私としては、この作品を“入口”にして欲しい。でも舞台に立っているのは、古典からしっかりと琉球舞踊を学んで、一つ一つ階段を登ってきた演者たち。沖縄にある音楽を借りて作られた舞台で表現するのは創作舞踊も含めた“今”だけど、その根本には脈々と受け継がれてきた琉球舞踊があるから。それを感じて、芸能の世界を楽しんでほしいなって。

前里:うん。

知花:たとえば私たちの「沖縄燦燦」を観てくれた人が、『じゃあ本当の琉球舞踊って何?』となって沖縄を知る入口になってくれたらイイなぁ。

  

沖縄の情景とともに、懸命に日々を送る人々の姿が
アレンジを加えた歌と踊りに乗せてテンポよく展開される

  

真逆の2人

  

知花:茜さんも私と出会った頃は、琉球舞踊とかあまり知らなかったよね。

前里:まったく。一概には言えないけど、私の親世代には“沖縄”にコンプレックスを持っている人も多くて。小・中学校時代を思い返しても、周囲に沖縄の芸能をやっている人が身近にまったくいなかった。

知花:私は真逆の世界。読谷村っていう、いわば“芸能の島”で育っているから、茜さんと出会ったときは『こんなに知らない人がいるんだ』と、ある意味で衝撃だったくらい。

前里:地域でエイサーもやらなかったし、青年会もなかったと思う。子供の頃にテレビで観た沖縄芸能の番組は、馴染みがなくて退屈でしかなかった。

知花:だから茜さんと一緒にやるのは楽しいんだよね。『やってること伝わってる?』って聞くと、ダイレクトに答えてくれるから。(笑)

  

  

前里:小百合さんに会わなかったら、多分(沖縄の芸能を)見てないと思う。私は、小百合さんと出会えてラッキーだなぁと思ってるよ。みんなが小百合さんについていく。面白いキャラクターだし。(笑)

知花:(笑)。お互いにないものを補い合えてるのかな?特に「沖縄燦燦」では、茜さんがいてくれたから出来たことがたくさんある。信頼しています。

前里:(照れ笑)。

知花:だから私が落ち着いたら(前里氏に)琉球舞踊を教えようと思っている。(笑)

前里:おぉ。(笑)

  

ロングラン公演の、その先

    

前里:「沖縄燦燦」という舞台を7年間やってきて思うのは、本当に自分が『好きだ!』と思える作品に関わることができて、さらにその作品が長く続いている今は、超ラッキーだなということ。たとえ自分がどんなに良いと感じても、続かない作品はたくさんある。

知花:たしかに。歌や踊りは単品で続けることができるけれど、長く残る“作品”を作るのは大変だよね。

前里:しかも「沖縄燦燦」は各地での学校公演を通して、子供たちの沖縄に対する興味や関心への種まきが、地道にできている気がするの。

知花:出演者と一緒に何かをやるワークショップ型だから、参加した子供たちの印象に、強く残ってくれるかなってね。

前里:沖縄の芸能には、まだまだファンが少ないから……そうやって、この作品が何か沖縄の助けになったら良いなと思うよね。

  

公演後、拍手で包まれる会場にはハッピーな笑顔があふれる

  

知花:いつかは、美ら海水族館、首里城、沖縄芸能ってなるように。まずは「沖縄燦燦」を10年残る作品にしたい!そして、舞台に来てくださるお客様にも『今を生きている喜び』を一緒に感じてもらえるように。お客様も、演じる私たちも若返るようなプラスのエネルギーを出し続けたい!(笑)

前里:これまでも、変化をしないことの方が難しいくらい、毎回“新しさ”を生み出してきた舞台だから。これからも『何回観ても面白い!』と言われるような舞台を作り続けましょう!

   

  

対談した人

知花 小百合|ちばな さゆり

舞踊家/役者/朱日流朱之会師範

舞台「沖縄燦燦」ではステージング(振付)を担当するだけでなく、自らもステージに立つことで常に新しい表現を模索し続けている。琉球舞踊・沖縄芝居・現代演劇など、活躍の舞台は幅広く、国内外で数多くの公演に出演する実力派。


前里 茜|まえさと あかね

茜演出工房代表。

現代演劇の舞台経験を持ち、“芸能の仕事に携わりたい”との想いから映像制作会社に入社。2007年からは、加藤直、ふじたあさや、鄭義信など、日本を代表する演出家の演出助手として活躍。舞台「沖縄燦燦」でも演出助手として、その手腕を発揮している。

  

撮影場所協力

沖縄県立芸術大学

  


沖縄燦燦|2019年度 沖縄県文化観光戦略推進事業

■公演スケジュール

2020年 1月 10日(金)19:00

       11日(土)13:00/16:00

       12日(日)13:00/16:00

※開場は全日とも開演時間の30分前となります。

■会場

パレット市民劇場

 沖縄県那覇市久茂地1-1-1パレットくもじ9F

■チケット料金(税込)

一般:2,500円

高校生以下:2,000円

※未就学児に限り膝上鑑賞無料 →チケット購入はコチラから

沖縄燦燦(エーシーオー沖縄)公式サイト