「a la carte」動画
「かっこいい!」「まさに“沖縄”が踊り出した!」など好評いただいているこちらの動画。
実はこちらの動画には、「a la carte」という演目のPRというだけではなく、制作に至るまでの、いろんな思いが込められているのです。
PR動画撮影に同行させていただいた、琉球芸能初心者のスタッフ謝花が、リポート形式でお伝えさせていただきます!
目次
■「a la carte」動画をチェック!
■「a la carte」動画ができるまで(企画段階)
■そうして始まった、各ガチ職場での撮影
・ローソン 糸満真栄里団地店
・こころ法律事務所
・ガルフスポーツクラブ豊見城
・littleデイジー
・有限会社フタバ
■アトリエ銘苅ベースでの撮影
■撮影を終えて
■Special Thanks
■「a la carte」公演情報
a la caete動画ができるまで(企画段階)
それは6月のことでした。緊張した面持ちで集まった、事業担当スタッフ、映像制作会社・MARUKINさん、そして「a la carte」演出家の富田めぐみさん。
誰もまだ見たことのない新作舞台・アラカルトのPR動画制作のため、打ち合わせを行ったのです…!
今回制作するPR動画は、「アラカルト」は新作の舞台ということもありますので、どのような演目なのか、イメージがわかる感じの映像でいかがでしょうか。
実はアラカルトの舞台は、『新作ですよ』と売り出したいわけではなく、琉球芸能そのものの美しさ、楽しさを見て欲しいんです。
でも、それだと『敷居が高い、難しそう』といったネガティブなイメージを払拭できない。だから案内役のソムリエがいますよ、いろんな演目をいいとこ取りで見れますよ!と作っているんです。
う~~~~~ん
敷居は下げるけど、質は下げてない。本物が見れる、でも間口は広げたい。
国立劇場は、琉球芸能を観るためにフォーマルな恰好で行くところだけど、この舞台は短パン・島ぞうりで来てもらっても構わない。そういうところを映像化できれば!
興味を持ってもらう、間口を広げるという点にポイントを置くなら、普段の日常の中に『琉球芸能』がある感じを出してみても面白いかもしれません。スーツを着たサラリーマンが空手を披露するとか、主婦がめちゃくちゃ上手に琉舞を踊るとか。
あと、ありえない場所でやるのもいいかもしれません!久茂地の交差点の雑踏の真ん中で踊るとか、モノレールの中で踊るとか。
それはアリかもしれません。琉球芸能って実は沖縄の人々の生活の中から生まれてきたものなので。
琉球芸能って宮廷で発展した一方で、村の普通の農家の方や漁師さんが祭りのときだけ舞台に立つ、そんな感じで何百年も伝承されてきたものだったりもして。
それは実は今でも変わっていなくて、普段は普通の仕事をしている人たちが、夜になるとひっそりと稽古場に集まってきて稽古して、その人たちが週末になると国立劇場の舞台に立っている、みたいな。
昔も今もそういうところでは同じなのかも。組踊の玉城朝薫だって、今でいう県庁職員的な立ち位置で、街づくりをしていている傍ら、外国からVIPが来る時に臨時MICE担当で舞台をプロデュースしてたみたいなイメージですよね。
ちなみに、アラカルトに出演される舞踊家の方の普段のお仕事って…?
コンビニ経営者、法律事務所で事務をしている方、ジムのインストラクターさんetc…
えっ…!意外!
例えば、その方たちの職場で撮影させていただくことって可能ですか?
面白いかも!聞いてみますね。
そうして始まった、各ガチ職場での撮影
結構無茶ぶりかと思われた、各職場での動画撮影。
なんと!協力的な舞踊家の皆さまの職場に救われ、撮影を敢行させていただけることになったのです。
ローソン 糸満真栄里団地店
最初の撮影現場は、ローソン糸満真栄里団地店。こちらのオーナーでもある照屋香織さん。
ローソンカフェのエプロンを着ていたのですが…コンビニ店員っぽさを出すために、わざわざユニフォームにお着替えいただきました。
この時、実は、こんな至近距離でははじめて、本物の琉球舞踊を観た私。さっきまでニコニコしていた店員さん(照屋さん)。「加那よー(かなよー)」の曲が流れ、踊り始めた瞬間から…空気が変わりました。かわいくて、かっこいい!
動画内では陳列棚に物を戻すシーンと、駐車場でのシーンが使われていたのですが、店内で撮ったり、駐車場でも場所を替えて何テイクも撮ったりと、暑い中ご協力いただきました。
余談ですが、ローソン糸満真栄里団地店めちゃくちゃ駐車場が広くて(店正面の駐車場の広さは動画でもわかりますが)なんと店の横も後ろも駐車場でした!すごく便利!
お客さんからも「撮影ね~?」という感じで声をかけていただいて、常連さんに見守られつつの撮影。アットホームなコンビニでした。
こころ法律事務所
なんと次の職場は那覇市のこころ法律事務所!少し緊張する静かな雰囲気の中、宮城愛さんに「若衆こてい節(わかしゅくてぃぶし)」を踊っていただきました。
そしてみんなで驚いたのが「若衆こてい節」が意外にも法律事務所の雰囲気と合う!ということ。緊張した空気が更にきれいになるような、踊りの動き一つ一つがピシッとしていることもあるのか、「厳か(おごそか)」という言葉が当てはまるような不思議な感じがしました。
個人的には動画内のパソコンを閉める動きが扇子を持った手の動きに変わるところがとても好きなんです。
また、動画内でのオンエアはされませんでしたが、宮城さんの同僚の方にもご協力いただき、仕事(PCの作業)をしている後ろで「若衆こてい節」を踊っている…少しシュールな映像も撮ったりしました。
ガルフスポーツクラブ豊見城
こちらでインストラクターもされている大田礼子先生の撮影!
ガルフ豊見城さまには、メンテナンス中の休館日にも関わらず、ご対応いただきました。
こちらは「高平良万歳(たかでーらまんざい)」。旅芸人に変装して親の仇を討つ踊りだそうで、万歳(まんざい)は旅芸人のことなのだとか。
スポーティなインストラクターさんが、曲が流れた瞬間きりっと変わる瞬間。
はぁ、かっこいいー!
あれ?これって琉球芸能ファンの方も見たことない貴重な瞬間なのでは?と気付き始めちゃいました。スタッフならではの役得ですね。
littleデイジー
こちらは児童発達支援や放課後等デイサービスを行っている西原町のlittleデイジーさん。子どもたちの帰った夕方の時間にお邪魔させていただきました。
こちらでは金城千夏さんに「空手舞踊」を踊っていただきました。いつもは子どもたちが遊んでいるスペースで披露される見事な空手舞踊。かっこいい!
そもそも琉球芸能初心者の私は、空手家が歌三線に合わせて披露する演舞は見たことがあったのですが、「空手舞踊」という琉球芸能のジャンルがあることは存じておりませんでした。舞踊家の方たちも、空手道場に通って習得されるのだとか。すごいなぁ。
ここでまたすごい!と思ったのが、終わった後金城さんが動画をしっかりチェックして、動きについて自己反省を行っていらっしゃったこと。「芸の道に終わりはないんや…!」と私の心の中の関西人も息を呑んでいました。
有限会社フタバ
那覇市港町でかりゆしウェアやユニフォームの縫製を行うフタバさん。
代表の方からも、とてもウェルカムな雰囲気で迎えていただき、和気あいあいと撮影できました。
こちらでは東文子さんに「本貫花(むとぅぬちばな)」を踊っていただきました。カタカタカタカタ―と早いテンポでミシンやいろんな機械が動く中、ゆったりとした動きの踊り。その対照的な感じが、東さんの周りだけ世界が違うような、不思議な空間を作り出していました。
ここでも印象的だったのが、機材準備中、東さんから「時間少しかかるようでしたら(ミシンでの)作業していても大丈夫ですか?」と申し出があり、準備できるまでは作業しつつお待ちいただくことに。機材の準備ができたので声をかけると、すぐ本番OKとのことで、カメラを回して早速踊っていただけました。プロのスイッチの切り替えの早さに、感動しました。
アトリエ銘苅ベース
こちらは演劇の舞台などでも人気の劇場。全体のロケで使用させていただきました。
5人全員で踊っていただいた「黒島口説(くろしまくどぅち)」、動画ではオペラの音源を使用したので、このときの音は入っていませんが、声を出してヘーシ(囃子)も入る踊りで、ニコニコ笑顔で踊られていて、とても素敵で見ていて元気が出るような踊りでした。こんな間近で見れてうれしい!
その後は、本番の衣装を着た5人の舞踊家の皆さまにそれぞれ踊っていただきました。
アラカルト本番の舞台では、演目が日替わりになるとのことで、是非見たい演目があればアラカルト公式Facebookよりチェックお願いいたします!
撮影を終えて
私のような、うちなーんちゅだけどカチャーシーしか踊れないような素人からすると、沖縄の芸能って「沖縄の文化として誇れるもの」という認識があっても、それと同時に敷居が高い」というイメージもあり、近いようで遠い存在でした。
ただ、この撮影を通して、琉球舞踊の舞踊家さんたちも実は身近にいて、普通に生活をしていて、でもその生活の中に、琉球芸能が息づいているんだということを実感する機会となりました。
(アラカルト演出家富田さんのFacebookより)
今も昔も、琉球芸能の伝統が受け継がれているのは、人々の生活が変わっても、決して変わらない「本物の琉球芸能の技とその想い」があるからこそ、なんだな、と。
この制作ストーリーを読んで、最初と映像の見方が変わっていると嬉しいです。
アラカルトの本番は2019年10月11日(金)~13日(日)テンブスホールにて全5回公演!演目も日替わりで楽しめますので、是非足をお運びくださいね♪
なんと!公演を毎日見た方(金・土・日コンプリートされた方)には素敵なプレゼントもあるそうです。お楽しみに!
Special Thanks
急なスケジュールでの撮影をお願いしたにも関わらず、快くご協力いただいた舞踊家の皆さま、そして各職場の皆さま、本当にありがとうございました。
【制作】株式会社MARUKIN
a la carte 公演情報
「a la carte」ちらしPDFはこちらから
10月
11日(金)19:00
12日(土)13:00/16:00
13日(日)13:00/16:00
会場:那覇市 テンブスホール【チケット】
一般 2,500円
高校生以下 2,000円
(未就学児に限り、膝上鑑賞無料)【チケット予約・販売・お問い合わせ】
シアター・クリエイト ☎090-3074-8290
(月~土 11:00~19:00)琉球芸能大使館 ryukyu-embassy@live.jp
【プレイガイド】
・那覇市観光案内所
(てんぶす那覇1階 098-868-4887)
・リウボウ
(パレットくもじ 098-867-1171)
・コープあぷれ
(新都心アップルタウン内 098-941-8000)
・イープラス eplus.jp
(スマートフォン/PC/Famiポート)